八つ墓村は歴史の町

摘要

昨年末のテレビドラマ「犬神家の一族」（横溝正史原作）を見ていて，ふと，思いだしたのは47年前（1972年），大阪の電気工事会社に在籍していた私が，某メーカーの新工場建設の電気工事の現場代人として，岡山県倉敷市を経由し，さらに山間部に入った川上郡（現，岡山県高梁市）成羽町へ出張していたときに見たあの場所だった。工事現場は，JR岡山駅で伯備線の「特急やくも」に乗り，山水画で有名な雪舟が修行をしたとされる寺がある「豪渓駅」や，秀吉が備中高松城を水攻めした場所で有名な「総社駅」を経由して約1時間後に，日本一標高の高い山頂に建造された重要文化財の「備中松山城」がある「高梁駅」に到着する。そこから高梁川（上流は成羽川）沿いに乗合バスで40分揺られて行くと，深い山林に囲まれた成羽町に着く。徒歩で成羽橋を渡ると，すり鉢状の地形の田圃の中に，現場（元成羽小学校跡）があり，対岸の国道を大型トラックが通ると，エンジン音が付近の山々にゴーンゴーンと山彦のように大きく反響していた。折しも，当時は第一次オイルショックで，電気工事に必要なビニール被覆電線やビニールパイプ類は入手困難であり，資材価格も高騰し，予算的にも苦しかつた。