簡易脳波計測を用いた住宅の寒暖とストレスの関係調査住環境が脳機能に及ぼす影響に関する実測調査(その10)

摘要

本研究では住宅の温熱環境とストレスの関係を調査することが目的である．高齢化が進行する日本では医療費が増大しており[1]，これまでの治療重視の体制から疾病予防・健康増進の体制に移行することが求められている．1 年の中でも冬季に死亡率が増加していることから，寒冷暴露が健康に影響を与えている可能性がある．既往研究から寒冷暴露のうちでも外気温ではなく室温が死亡の因子になっている可能性が示唆されている事を踏まえ[2-4]，本研究では温熱環境に着目した．一方，もうひとつ大きな死亡因子としてストレスが挙げられる．ストレスは生活習慣の乱れと動脈硬化・高血圧の要因として密接に関わっており，今や人口の47.7％が抱える問題である．既報でも住宅内温熱環境とストレスの関係について調査を行ってきたが，今回は運動前後でのストレスの減少度から住宅の室温の比較検討を行った．先行研究として，オフィスの温熱環境が健康面のみならず心理面にも影響を与えること[5]が知られているが，住宅の温熱環境にどのような関連性があるかは知られていない．したがって，ストレスと住宅の温熱環境の関係性を知る必要がある．そこで本研究では，住宅における温熱環境とストレスの関係性を脳波解析を用いて明らかにすることを目的とする．