人工大地の様式: 大地と構築物の痕跡を用いた集落の更新

摘要

私たちは大地と共に暮らしてきた。古来からの集落に見られるように、大地と建築は不可分な関係性を持ち、互いに同調するように建ってきた。しかし近代化に伴い、特に斜面地における建築の建ち方は土木的操作により大地を覆い、自然を制御する形式へと変わっていった。このようにして造られた大地とそれを覆う構築物を[ 人工大地] と定義する。人類が生み出した自然と乖離する人工大地の地形をなだらかにし、構築物と自然物の関係を再び融和していくことは、P= クルッツェンが提唱した「人新世」などの観点から重要と考えられる。本研究では、人工大地における構築物の形状、寸法、大地と接する位置といった痕跡を用いて、構築物の更新手法のパタン化を行う。ケーススタディとして集落( 地形によって領域化される住居集合と土地）を再開発的な一斉更新ではなく、パタンを用いた局所的な更新を行っていく。集落の人工大地を更新し、人工物と自然物の新たな関係をもった大地の様式を提案する。