コンクリートの透気性と中性化抵抗性の関連に基づくダブルチャンバー法の評価指標: その1 研究背景と実験概要

摘要

かぶりコンクリートの品質を物質透過性の観点から評価するための表層透気試験は，これまで多くの研究者によって提案されてきた。これらの表層透気試験は，研究者により試験方法や閾値などが提案されているものの，試験規格や評価基準は未だ整備されていない。これら背景のもと，コンクリートの施工に関するスイス規格(SIA262:2003)には，耐久性の観点からかぶりコンクリートの品質の重要性が示され，実構造物の品質を透気試験等の方法により検査することが盛り込まれている。その具体的な動きとして，スイス連邦道路局では検査指針が作成されており，試験方法としてダブルチャンバー法［Torrent法］が特定され，透気係数の評価値(推奨値) が表-1 のとおり示されている。一方，国内では2010 年前後より急速に普及したダブルチャンバー法が実構造物の品質評価に用いられるようになってきたが，その評価は構造物の表層品質の比較評価に留まっている。