環状エーテルに関連した新規反応の開発およびその天然物合成への応用

摘要

天然には様々なリングサイズの環状エーテルが広く存在し，それを含む化合物には顕著な生理活性を示すものも多い.よく見られる環状エーテル構造としては，ハイドロフランやハイドロピランが挙げられる.これら2種の環状エーテルが特に多く存在するのは，5,6員環の際立った安定性および環形成の容易さに起因している.単純なハイドロフラン誘導体やハイドロピラン誘導体の合成に関しては古くより多くの方法が開発されているが.多環性構造の一部として存在する多置換ハイドロフランゃ多置換ハイドロピランを効率的に合成するためには，従来の反応を駆使するだけでは困難である.したがって，複雑なハイドロフラン誘導体やハイドロピラン誘導体を短工程で合成できる方法は現代の有機合成化学においても重要課題の一つである.