日本印刷学会インクジェット印刷技術の最新動向と可能性の探求

摘要

日本印刷学会技術委員会プリプレス研究会は昨年11月28日，東京都中央区新富•日本印刷会館で表記2014年度研究例会を開催，「先端技術者と先行ユーザーが語る現在と未来」を副題として以下7件を報告した.インクジェットを中心としたデジタル印刷技術の基礎と今後の展開（バリューマシーンインターナショナル/宮本泰夫氏）；主要デジタル印刷は電子写真とIJ. IJの品質要因は①プリントヘッドとインク：ノズルの解像度•詰まり•吐出量変更と最小液滴量，②紙等印刷媒体と乾燥：インク着弾時の挙動，滲み•裏抜け，乾燥機構の効率と媒体への悪影響のバランス，③搬送系：へッドと印刷媒体のギャップの安定化.第3のデジタル印刷機？；Landa Nanographyのコア技術は，①超微細顔料分散•水性ナノインク，②画像技術：IJへッドより100℃強中間転写ベルト上にインク吐出，水分蒸発しフィルム形成後IRで転写面加熱溶融し，印刷媒体に圧着転写.紙媒体は転換期を迎え各印刷で小ロット化.①商業印刷：デジタル化が進み多品種•短納期化，オフ輪はIJヘッドも，②フォーム：伝帳票減からデータプリント領域へ移行，Web化ITクラウド化で市場減，③出版：市場縮小し構造変化，電子化等で新刊増加し初版•重版部数減り講談社等がデジタル生産開始，④新聞：オンライン媒体と競合進み電子化，個別化ニーズ，⑤包装•ラベル：特殊媒体•デジタル化が課題.インクジェット連帳機を構成する技術と高速化に関する検討（富士ゼロックス/森田直己氏）；デジタルカラー印刷が成長し，連帳機の伸びは年率23％の見込み.連帳機で印字200mpmの加熱ドラム/温風併用機，IRの100mpm機導入.乾燥課題は，①シワ：水の浸透で紙が膨潤し発生，対策で用紙間ギャップ拡大や濃度下げは画質落し速度減は生産性低下.②未乾燥インクのロールや用紙転写：濃度•速度減は①同様課題生じ水分蒸発対策等紹介.補修時長時間放置でも蒸発耐性の高いインクが必要で高速化の鍵は乾燥とデータ転送.IJと高速電子写真LIDは新たな飛躍期.