古紙処理の現状とその将来： 中国の古紙禁輸や海洋ブラ問題などへの対応が要請

摘要

FAOの統計によると，2013〜17年の世界における紙•板紙に供給される古紙の量は表1のようにKPなどを含む製紙用パルプの量の約1.3倍（17年）で，その差は年々開いていく傾向にあり，古紙は製紙原料になくてはならない原料であることがわかる.日米を比較すると，日本では古紙の供給量はKP主体の製紙用パルプ量に比べると多いが，米国ではKP主体の製紙用パルプの方が古紙より多い.それでも米国の古紙回収量は年々増加しており，また回収率は日本よりも低いが，17年では66%に達している（図1).ただ，回収された古紙の使用先を見ると40%近くが輸出用で主な輸出先は中国であり，残りの60%程度が板紙,箱用板紙(石こうボード用など）あるいはティシュや新聞紙用およびパルプモールドなど多用途に用いられている.