転換期にある水防災·減災と科学·技術の貢献

摘要

2013年の伊豆大島土砂災害によって死者·行方不明39名の犠牲がでたのも束の間、翌2014年には広島にて未明に土砂災害が発生し74名の命が一瞬にして失われた。また、2015年の関東·東北豪雨により鬼怒川が決壊し、多くの住民が逃げ遅れて氾濫流の中に孤立し、ヘリコプターで1300人あまり、ボートなどの地上部隊により3000人もが救助される事態となった。2016年には3つの台風が北海道を襲い、また東北地方太平洋側へも暴風域を伴ったまま台風が上陸した。これらは気象庁が統計を開始した1951年以来初めてのことで、一級河川の支川区間や道·県管理区間で破堤、落橋による交通網の寸断が相次ぎ、農作物が壊滅的な被害を受け、岩手県では要配慮者利用施設において入所者が避難できずに犠牲になる、甚大な被害が発生した。