旧名古屋銀行本店ビルの耐震改修: 都市に残る近現代建築物を活用するための耐震改修

摘要

本建物は、名古屋を代表する建築家鈴木禎次の設計で1926年に名古屋銀行本店として竣工した。建物の外壁を石貼りとし、4階分の巨大なコリント式の列柱を特徴としており、鈴木が得意とした銀行建築の中でも典型的な様式建築である。竣工以降、数度の增改築を経て、伏見エリアの代表的な近現代建築物として、長く市民に親しまれてきた。鈴木の作品は、本建物が面する広小路通りだけでも9棟ほど建てられたがそのうち現存するのは本建物のみとなつている。名古屋における近現代建築の貴重な歴史的遺産である。平成元年に名古屋市都市景観重要建築物に指定され、日本建築学会からも要望書※1が出されるなど、建築的観点、まちづくりの観点からも活用され続けられることが望まれていた。