地上デジタル放送波の信号処理技術第5回: 地上デジタル放送用長時間遅延ひずみ等化方式（その1)

摘要

地上デジタルテレビ放送におけるSFN(Single Frequency Network)環境下、あるいは山岳からの反射がある場合などでは、図1に示すように受信点において同一周波数で到来時間が異なる複数の局の電波（番組内容は同一）が受信されるため、受信波に歪みが発生する。しかしながら、日本で採用されている放送方式（ISDB-T方式）では、SP(ScatteredPilot)が実効的に周波数方向に3本に1本の割合で配置されており、±168μs(トータルで336μs、マイナスは進みを意味する）までの遅延時間であれば、遅延ひずみを等化することができ、問題は生じない。しかし、これ以上の遅延時間の遅延波が到来した場合は等化が不可能となり、受信不能となる場合が生じる。本方式はこのような場合でも受信が可能となるように開発したものである。