橋梁技術者の担い手確保

摘要

筆者は今まで多くのPC橋梁のプロジェクトに携わってきた．橋の種類としては，PC桁橋はもちろんのこと，斜張橋，アーチ橋，吊り床版橋など多種にわたり，構造的にもPC，PC鋼複合，合成構造，ァラミド繊維·カーボン繊維など新素材を用いた構造など，また施工法的にも総支保ェ，張出し架設，PCaセグメントなどいろいろ経験させてもらった.これらの経験から単にPC橋梁のみでなくそこから派生した技術に関しても接する機会が多く，土木技術者としての幅も持てたかと思っている.ところが，最近若手技術者から，「私は張出し架設のPC桁橋の設計施工しかやったことが有りません.」という話を聞いた.そう言われてみると近年のPC橋は経済性と実績を重視するあまり，画一的な桁橋が余りにも多くないだろうか．橋梁という構造物は，人や物を安全に通すという機能はもちろん大切であるが，使用材料や設計法の進歩，現地条件に見合った構造特性などを通して工学的価値のあるものであり，また地域の歴史的背景を表現する媒体でもあり，景観に与えるインパクトも大きい.このような橋梁の持つ性能を大きく捉え，特殊な橋梁でもそれが持つ性能を考えた場合，桁橋以外の構造形式が土俵に上がるケースも少なからずあるはずではないだろうか.