微生物発酵を利用した再生可能資源からの高機能バイオマスプラスチック原料生産技術開発

摘要

石油等の枯渴性資源に依存した従来の製品体系から、持続可能な社会の実現のため再生可能資源を基盤とした製品体系に移行する機運が世界で高まっている。日本では経済産業省主導でスマートセル育成戦略が発表され、バイオテクノロジーによる製造分野(モノづくり)への貢献が望まれている。このような期待に応えることができる「モノづくり原料」としての環状不飽和有機化合物、いわゆる芳香族化合物は置換基の位置、数、種類によって膨大なバリエーションが存在し、高機能材料原料として、また医薬品原料として大きな可能性を秘めている。このような芳香族化合物の1つである4-アミノ安息香酸(4-Aminobenzoic acid,4ABA)はアメリカ国防高等研究計画局(DARPA)の中長期的計画で挑戦的ターゲットに指定された高付加価値物質であり、再生可能資源からの生産が望まれている。しかし全般的に芳香族化合物は毒性が強く、微生物を用いた発酵生産は極めて困難と考えられてきた。このような背景の下、本研究では産業微生物として知られるCorynebactenum glutamicum(コリネ型細菌)の芳香族化合物生産代謝経路の機能解析と、代謝経路を改変することで4ABAを効率よく生産させる技術開発を行った。