自動車用燃料電池向け電極触媒の高性能化とナノテクノロジー

摘要

環境にやさしく，これまでの乗用車と遜色のない性能，安全性，乗り心地，航続距離，利便性を実現する次世代車として，20年以上の長期にわたり産学官で燃料電池自動車(FCV)の開発が進められてきた.2014年末，トヨタ自動車よりMIRAIの一般発売が開始されたことより，念願の実用化の口火が切られ，今後も本田技研工業などからの市場導入も計画され，いよいよFCVの実用化が本格化している.今後のFCVの普及拡大には，FCVの車体システムの技術開発•低コスト化だけではなく，水素燃料のインフラ整備などまだまだ多くの課題が残っているが，本稿では，FCVの高性能化•高耐久化•低コスト化を左右する電極触媒開発において，産学官プロジェクトで実施された取組みとそれを支えたナノテクノロジーの一端をご紹介する.%Aiming at the full-scale proliferation of fuel cells, we are carrying out research in order to create innovative concepts for high performance, durable, low cost fuel cell materials, such as electrocatalysts and catalyst supports, with both confirmation of platinum effectiveness through catalyst layer evaluation and analysis using nanotechnology for the establishment of the basic technology.