ヒューマンエラーによる交通事故の発生と対策—交通心理学の視点から

摘要

交通事故の防止対策を研究している分野には，自動車工学，交通工学，人間工学などさまざまな学問分SPがある.その中で，道路利用者の特性やドライバの安全教育を中心に研究している分野として交通心理学がある.工学系の方にはあまり耳慣れない研究分野だと思われるが，交通心理学は心理学の一応用分野であり，主な研究内容として，①事故の人的要因の分析，②個人差と運転行動（性格，年齢，性差など)，③運転と心身機能（視機能，アルコールの影響など)，④運転者の不適格因子の評価(適性)，⑤歩行者の交通行動，⑥緊急事態における道路利用者の反応と教育·広報，⑦道路利用者の生涯教育システムの開発，⑧情報提供システムなどを対象としている.もちろん，道路交通は自動車-人間-道路からなるシステムなので，交通心理学も人間を中心として，自動車工学，道路交通工学などの他の学問領域との連携を必要としている.%Many traffic accidents are caused by human factors. This report explains typical human factors and driver errors related to traffic accidents. Classification of human factors, a way of thinking about human errors and human factors of traffic accidents related to driving of a perception judgment accident background factors, and a traffic psychological measure to a traffic accident are described.