「木組壁構造」による慶松幼稚園とeggg Cafe

摘要

紹介する二つの小さな建築「慶松幼稚園」と「eggg Cafe」は，ともにRC壁式構造から構造用合板と柱• 梁などの直線的な木材の組合せからなる「木組壁構造」への平行移動の事例であり，この平行移動の背景には木材加工のプレカット構（工）法のすでに一般化されているといってよいであろう事情がある。順序からすると，慶松幼稚園を建ててみてプレカツ卜の仕口にやや複雑さがあると反省し，eggg Cafeでは単純化を図った。木構造の建築という観点からすれば昔から優れた事例は枚挙に尽きず，今日また木材の特性を活かした形態や構法が開発されていることは知つているが，耐火性など制約が強いこともあって，なかなか難しいというのが筆者の感想であり，この二つの作品では，次の2点を自らの制約条件とした。すなわち，①木材による独立柱を発生させない，②長いスパン（梁部材）は発生させない，である。この2点は木材の特質の放棄であるともいえるし，ここでは，たまたまそうしたルールで設計してみただけともいえる。