建築を考え兢けるために、いくつかの論文が教えてくれたこと

摘要

1970年代半ばに学生だった私のような世代にとって、雑誌は最大の情報源であり、数ある建築雑誌の中でも、『a＋u』はまず論文が充実していることが特徴で、これに関しては他の追随を許さないものがあった。1975年は特にその印象が顕著で、コーリン・ロウの論文「Transparency／透明性：虚と実」「Transparency Ⅱ／透明性：虚と実　第2部」「理想的ヴィラの数学」がこの年に掲載されている。今号に再録された「理想的ヴィラの数学」が最初に発表されたのは1947年の『Architectural Review』誌上と随分前のことになるのだが、MIT Pressから出版された論文集は1976年の刊行で、それに先行して日本で紹介されたことになる。%To those in my generation, who were students in the mid-1970s, magazines were the primary source of information. Among them, a+u was notable for the number and strength of its essays, which permit no comparison with other magazines of the time. The essays carried in 1975 were especially memorable, including "Transparency: Literal and Phenomenal", "Transparency: Literal and Phenomenal II", and "The Mathematics of the Ideal Villa" by Colin Rowe.