東北の家族像--世代による地域住み分けの視点から

摘要

1960年前後に始まった過疎問題は、当初、島根県を先進地として、もっぱら西日本社会の問題だった。しかし2000年代には、秋田県が高齢化率で各県のトップに立つなど、北東北が過疎・少子高齢化問題の先進地になりつつある。とはいえ、例えば、過疎地の限界集落（65歳以上人口比率が50パーセントを超える集落）が、今にも崩壊を起こしそうかというとそういうわけではない。東北でも、西日本並みに、高齢者ばかりの集落が現れはじめており、数イ直だけを見ると、地域崩壊は目前のように見える。しかしこれもまた西日本と同様に、東北でも、人々はこの状況に実に巧妙に対応してきた。このことは、世代と家族に注目するとよくわかる。