ザ·リッツ·カールトン京都

摘要

「京都迎賓館に対して、民間の迎賓館をつくりたい」との発注者の想いから始まり、京都での高級ホテルのブランディングを成立させるための論理を、計画、設計、技術のすべてで具現化した傑作である。古くは平安時代に東山から昇る月を愛でるための貴族の別邸が構えられ、桃山時代には豪商·角倉家の本拠、明治期には男爵·藤田傳三郎の邸宅、昭和後期には京都を代表する老舗ホテルであった吉村順三設計のホテルフジタ京都が建っていた敷地で、鴨川沿いから東山、比叡山を臨む、まさに京都の歴史と文化を代表し、それを継承しなければならない特別な場所である。京都ひいては日本を代表する建築が求められるなかで、その期待に十二分に応えた建築が実現されている。