農大アカデミアセンター

摘要

隣接する新1号館(設計監理久米設計。2011年竣工)に続く世田谷キャンパス再整備の第2弾プロジェクト。収納可能冊数約100万冊,座席数約1,000席の規模を有する図書館機能を中心に,大学本部機能を含む本学の中核となる複合施設である。建設場所はキャンパスの象徴的空間として親しまれている,樹高20m以上の保存樹などからなる「農大の森」に隣接しており,建物と森とがー体となることを設計のテーマとした。土を喚起させるオリジナルの素材感を追求したテラコッタスクリーンや土壁風タイル外壁をはじめPCひさしなどにより,農大のアイデンティティの具現化を図るとともに,キャンパス共通デザインコードとして新たに設定することで,まとまりを生む今後のキャンパス再整備の骨格をつくった。内部空間においてそれまでキャンパスに不足していた学生の居場所をつくりだすため,例えば図書館フロアでは,様々な質の異なる閲覧席スぺースを分散配置して目的や気分に応じて使い分けできる選択性を重視した。さらに回遊性や散策性を生み出す書架レイ了ウトや吹抜け階段配置などにより,森と連続する巨木に見立てた建物の中を空中散策するような空間をめざした。