建築ストック社会の到来どその先にみえるもの

摘要

--まず、建築ストックにおいて考えるべき問題とは、どのようなことでしょうか。それぞれの専門や視点からご教示ください。[加藤]屮川：私は経済学の専門ですが、都市工学や建築学の方々と私たちの間には、建物の寿命に対する考え方に大きな相違があります。建築分野の方々は、物理的に長く持ちそうな建物が早々に取り壊されていることに違和感を覚えるようです。もちろh感情は理解できます。しかし経済学的に見れば、建物をつくることは一種の投資行為です。そのため、現時点ではオフィスとして収益がある超高層ビルも、都市や産業の構造が変化し利益が上げられなくなれば、それは寿命が来たと捉える。だから取り壊して収益性がより高いものにしたほうがよいと考えるのは、至極当然のことなのです。