大阪諭特集の編集に港む都市ヴィジヨン

摘要

特集43「大阪から考える都市再生の現在」、44「万博から考える関西の未来」を読hで興味深かったことは、編集長及び編集委員会の編集方針にある。話を聞いたわけではないが、この二つの特集は2019年1月号特集25•26のポストオリンピックの東京論特集と併せて読まれるべきである。すると五輪後の東京と万博後の大阪の都市モデルを対峙させようとする編集の意図がうかがえるからである。その際の共通代は五輪と万博という国家的祭事だが、実はその歴史的意義も都市計画上の役割もまったく異なることがこれら4特集を通して読むとわかるのである。第45特集では、情報流·人流が「高流動化」する日本に立ち現れつつある、新しぃ国土とその計画のあり方を浮かび上がらせることを試みた。市川宏雄氏、松原宏氏、城所哲夫氏による座談会では、戦後の国土計画に対する歴史的認誠に基づいて、従来の「均衡ある発展」を基軸とした論理が限界にきていること、環境面や社会面を含めて持続的な国土を創っていく視点が不可欠であることなどが指摘された。続く論考では、リニァが生み出すス一パ一メガリ一ジョンへの期待とともに、内向きの国土構造論を脱して国際的なネットワ一クと接続した圏域を獲得することの重要性が示されたほか、高度情報化によるヮ一クスタイルの変化がバランスの良い国土づくりを後押しすることへの期待が示された。最後に「高流動化」する国土と都市·地域の計画論に関して、イタリアの「テリ卜一リオ」と呼ばれる、都市とその周辺環境が一体として浮かび上がる歴史的な生活圏•文化圏•経済圏などを再評価し、新たな価値を付与する思想から、わが国の地方創成に多くの示唆が得られた。また、ビッグデ一タを用いて国土を即時的にモニタリングし計画に生かすことの可能性が示された。そして将来の国土として、都市と農村が一体となった圏域がうごめき流動するダイナミックな列島像が提示された。本特集を通して、機械仕掛けの日本列島を創り上げてきた戦後の国土計画の論理に限界がきていることが浮き彫りとなった。今後は、自然環境や地域固有の風土など、各地の生活環境のポテンシャルを生かし、生活の豊かさの創造を通して、大都市と地方の新しい関係性を描き出すことが求められる。