東京臨海部都市ビジョンの変遷

摘要

東京臨海部は、近世の江戸湊（水運都市）の沖合に、埋め立てによって漸進的に生み出されていった土地の集積である。1892年、東京湾澪浚計画に基づく月島一号地完成（築島=「月島」と命名）以降、拡大を続けてきた。そうして生み出されてきた土地を何に使うかを決めてきたのが都市ビジョンだとすると、その歴史を貫くのは、「港湾空間」化(物流)と「都市空間」 化（商工業·業務·住居）の棲み分けであった。東京港第8次改訂港湾計画（2014年）では、東京港を「物流機能ゾーン」（ピンク）、「都市機能ゾーン」（黄）、「環境機能ゾーン」（緑）に分けている。1970年代以降に加わった「自然空間」化（公園）を加えた3つの空間が、臨海部をきれいに分割している個1）。