JIMBOCHO SFⅢ

摘要

高密度な都心部で自然の恵みを最大限に享受すること，オフィスワーカー自身が省エネルギーに意識的になり，グリーンライフスタイルを採り入れるようになる仕組みをつくることをテーマとしたオフィスビルである。晴れた日には屋上の集光装置から細長いスリット状の光と風のヴォイドを介して各階の廊下に太陽光が降り注ぐ。壁を照らす太陽光はさまざまな表情を見せ，季節を感じ，一日を感じる豊かな共用空間として機能する。外部の温度，湿度，風速，天候をセンサーで捉え，オフィス内のグリーンのランプが点灯して，自然換気に適したタイミングをオフイスワーカーに知らせる。窓を開けると新鮮な外気はオフィスから廊下に抜け，重力換気によりヴォイドを通って頂部から排出される。オフィスワーカーが積極的に自然換気に取り組むことで，年間で約30％の空調エネルギーを削減できる仕組みをつくった。メインファサードは，生物生成のアルゴリズムを使ったコンピュテーショナル·ファブリケーションにより木漏れ日と風の流れをパンチングパネルのパターンに置換した。風で木立が揺れるように，パネルはわずかな風に反応して動き，オフィスから眺める風景に風と木漏れ日のイメージを重ね合わせる。