実践！パッシブ換気

摘要

以前、本誌においても建物の断熱化により可能になる自然エネルギー活用の事例として北海道の「パッシブ換気」を紹介した。断熱化により経済的に全室暖房が可能になると、外部との内外温度差はより拡大する。仮に室温を21℃、外気温を-1℃、温度差20℃の条件が整えば、建物に必要とされる計画換気や暖房に十分使える低落差のエネルギー源となる。もちろん自然エネルギーである以上絶えず一定ではない。揺らぐことを許容する設計が求められるし、何より大切なことはある瞬間の換気量ではなくある期間で十分か否か？といった視点である。今後再生可能エネルギーの拡大に合わせてさまざまな取り組みが増えると思われるが、基本的には不安定であることを前提にした設計思想で物事を見ることに慣れる必要がある。同様に換気や暖房は一般的に設備の領域と理解されやすいが、これから紹介するパッシブ換気は断熱化された建物の構造がもたらすものであり、そうした建物の特性の一つと理角？していただきたい。