人間の人格を建築の品格に——様式折衷主義理念をモダニズムの中で

摘要

年に一回通例となっている札幌市立大学羽深久夫教授の院生への講義のために訪札した折、若き、といってもそれなりの歳になった盟友•建築家諸澤良浩が、車で北海道の建築を案内してくれる。ターゲットはほぼモダニズム建築。昨2015年11月、今回はオホーツク方面。その途中、思いもよらず北見市の「ピアソン記念館」に案内された。1914(大正3)年ウイリアム•メリル•ヴォーリズがなんと34歳の時に建てた木造の住宅で、現在は北見市最古の洋館として市の指定文化財、北海道遺産に指定されている。この建築は、大正から昭和にかけてこの地の宣教活動に腐心したアメリカのピアソン夫妻の住宅として建てられた。ともあれモダニストを標榜する僕の心に、様式折衷主義とも言われるこの小さな館が奇妙に留まっていることにふと気がついた。WHY?