神奈川県庁新庁舎免震改修+増築神奈川県庁本庁舍•第二分庁舎改修

摘要

神奈川県が本庁庁舎として運用する4つのうち3庁舍（本庁舎、新庁舎、第二分庁舎）につ いての改修を行った。本計画の目的は、大規模地震•津波発生等災害時における事業継続性の強化である。 2011年東日本大震災を機に、耐震に加え津波対策の立案が急務となり、3庁舎ともに既存 で地下に配置していた電気関係室を地上に再配置した。新庁舎については地上の駐車場 跡地にエネルギーセンター棟を増築した後、地下1階柱頭免震化を行い駐車場に改変した。 あわせて地上階の既存不適格部分について現行法規に準じる改修および設備更新を行っ た。これらを居ながら工事で業務を継続し、引越しを繰返す複雑な工程を伴う計画となった。 エネルギーセンター棟は新庁舎南側に配置した。電気関係室を3， 4階に新設し、その下部をピロティ状として津波発生時の一時避難場所となるペデストリアンデッキを2階レベルに設置し た。この場所には地上から直接大階段で行き来ができ、本庁舍キングの塔を正面に望む新た な都市のシークェンスを生む。増築にあわせてより県民に開かれた場所を加えることとなった。 このたびの改修では、エネルギーセンター棟から電源が複数のルートで3庁舍を繋ぎ、仮に1 棟が被災しても他庁舎がバックアップ可能となった。横浜の歴史的景観の継承と同時に、非 常時の冗長性を備える庁舎に生まれ変わることもまた事業継続性の強化に応える本計画の 特徴である。