五十嵐太郎の先読み編集局第139回コロナ禍におけるオンラインのゼミ

摘要

東日本大震災が発生したとき、東北大の都市建築学専攻の校舎が大破し、立ち入り禁止になった。そのため、別キャンパスに一時的な部屋を借りるまで、しばらく居場所がない状態が続いていた。もつとも、部屋がなくても、教員と学生がいれば、教育は成立しうる。そこで筆者の研究室は、逆境だからこそ思い切ってできる試みとして、漂流教室を実践した。すなわち、学生が暮らしていたシェア•ハウスの「ダメ•ハウス」、はりゆうウッドスタジオが設計した都市計画の家、東京の大学の部屋など、さまざまな場所をゼミの場に変えたのである。