寺の経済学: 葬送の変遷による寺院建築の多様化

摘要

初めに、当社は単に建物を設計するだけでなく、寺院が安定した宗教活動ができるための総合企画に特化した業務を行っており、クライアントに事業企画提案をすることで建築家の統括する業域を広げ専門職能を通じて社会貢献をめざしている。現代は死者の祭祀における葬送の多様化の時代である。従来の家族意識や宗教観が少子高齢化、非婚化などにより墓地に対する意識が家単位から個人単位に移り葬送方法も変化しつつある。さらには、東京への人口一極集中などによる人口動態変化も加わり、葬送方法も家墓地、納骨堂、樹木葬、散骨、手元供養と多様化し、その中から多くは生前に個人で終の棲み処を選ぶ傾向にある。これらにより墓地の後継者不足が生じ無緣墓地の増加などで寺院経営が厳しくなつてきている。