「信州大学繊維学部：創立100周年を迎えて」

摘要

本年（平成22年，2010年），信州大学繊維学部は，明治43年（1910年）に官立上田蚕糸専門学校として創立されてから100周年の節目を迎えた．「人格の修養，学術の並行（学問と技術の習得を両立），実用的技能，進歩的学識」という建学の精神は，まず人格を磨き，学問的な知識の習得だけでなく，産業的な技術も習得するようにとの教えであり，当時の主要産業であった絹産業を支えるためにできた学校であることを物語っている．現在，繊維学部の理念は，「“繊維”に根ざした伝統的な科学技術を背景とした学際的先端科学技術の展開と21世紀における文化創造科学技術の開拓；優れた人格と国際性を有し，未来を創造しうる，広い視野と高い能力を持つ技術者，高度専門職業人，研究者の養成」であり，100年の歴史に裏打ちされた伝統的な科学技術を先端科学技術と融合して学際的に展開し，社会に寄与すること及び社会に役立っ人材を育てることを目的としている．目的とする産業分野は広がったが，学問とともに産業技術を視野に入れた取り組みをしていることに変わりはない．