薬事法の基礎知識: 繊維業界との関連

摘要

本講座の主題は，繊維業界との関連において，薬事法(本講座実施当時の呼称である.現在は「医薬品，医療機器等の品質，有効性及び安全性の確保等に関する法律」に改称(平成26年改正)されている.以下，本稿では「薬事法」という.)を理解するということである.本来，薬事法は，医薬品•医療機器等製造を対象とするものであるが，所謂「健康ブーム」の影響で，様々な「健康食品」が開発され市場に出はじめると，それら健康食品の不当な広告に対する規制が必要になり，薬事法が食品業界とも関わり持つようになっていった.そして現在，同様の現象が繊維業界にみられつつある.繊維業界についても，消費者の健康志向に沿った製品が次々と開発され身体機能への影響をもつ製品が販売されるようになった.ここに至って，繊維業界の製品についても薬事法の規制との関連が不可避となった.すなわち，これら身体機能への影響を主眼として開発された製品の販売戦略を策定するにあたって薬事法による規制を回避する方途を模索しなければならなくなった.