布の温度制御による湿り感の錯覚

摘要

著者らは，湿った布の肌触りに着目し，湿った布の肌触りをバーチャルに提示するシステムの実現に向けて検討した。乾燥布の温度を制御することにより生ずる湿り感の錯覚を捉え,布の温度が人体表面温より低い場合は，乾燥した布であっても湿り感として認知されることを明らかにしている。本研究は，衣服のバーチャルシミュレーションのリアリティを高める重要な要素である着心地を触覚表現という形で実現しょうとするものであり，独創性がある。またヒトの温熱的快適性を左右する湿り感覚の機構を解明する上で重要な成果である。よって2015年に掲載された論文の中で最も優れた論文であり，年度論文賞に十分値すると判断される。