中国雲南省十旧（Ggjiu）市スズ鉱山周辺土壌における総ヒ素濃度分布

摘要

In order to estimate the dispersion of arsenic released thorough mining activity, a total of 39 soil samples were taken around the Gejiu tin mine, Yunnan, China. The highest total arsenic concentration, 1.1 × 10 mg kg , was observed in the tailing. Although the concentration in soil samples was slightly lower than that in the tailings, higher than 5.1 × 10 mg kg of arsenic was still observed. A linear relation was observed between SiO_2 and Fe_2O_3, which can be used for estimating the dispersion of the tailings. A trend was observed that the higher the chemical index of alteration, the lower the arsenic concentration, which suggests the elution of arsenic from tailings through weathering.%中国雲南省个旧市老「鎮及び辛房鎮のスズ鉱山周辺で採取された土壌，河川底質試料に対し，混酸を用いた酸化分解処理を行い，水素化物発生原子吸光光度法を用いて総ヒ素濃度を測定した．また，波長分散型蛍光Ⅹ線分析装置（WDXRF）を用いて土壌，底質試料の化学成分分析を行い，ヒ素を含む尾鉱の拡散について考察を行った．採取された試料中ヒ素濃度は5.1×10~2～1.1×10~4mg kg~(-1)であり，最も高い値を示したのは尾鉱ダム堆積物であったが，ダム周辺の畑土壌は5.1×10~2～4.5×10~3mg kg~(-1)，調査地の中心部を流れる河川底質は1.5×10~3～6.5×10~3m g kg~(-1)のヒ素を含んでおり，スズ鉱山活動の影響が周辺へ広がっていることが示された．日本におけるヒ素の土壌含有量基準は150mg kg~(-1)以下とされているが，本研究対象地域において確認された土壌の総ヒ素濃度は，その約3～30倍であった．wDXRfの分析結果から．尾鉱は主要成分の一つとして鉄を含んでいること，さらに，Fe_20_3（％）とSiO_2（％）の間には，有意な負の相関があることが分かった．このFe_20_3（％）とSiO_2（％）の存在比は尾鉱と周辺土壌との混合に対応すると考えられ，尾鉱の拡散を示す指標となり得ることが示された．さらに，尾鉱の化学的風化に伴ってヒ素も溶脱し，水系へと移行している可能性が示唆された．