各建物用途における水使用分析と給水負荷算定法および給水システム設計の検討

摘要

給水給湯設備システムの最適設計では，基本となる負荷を精度よく予測することが求められる。しかしながら，本学会発行の"空気調和•衛生工学便覧(第14版)"，"給排水衛生設備規準•同解説(SHASE-S 206-2009)"などでは，設計用給水量の建物用途別原単位，瞬時最大給水流量の算定法は，旧版便覧の内容が修正されず，そのままの給水量原単位が転載され，節水化が進む現状とはかい離した状況となっていることが指摘されている。また，瞬時最大給水流量の算定では，複数の算定法が示され，その中でも簡便な方法であるがゆえに，以前からかなりの過大値を予測するものとして指摘を受けていながら，1940年代に米国で開発されたハンタ一法の"器具給水負荷単位による方法"が依然として実務設計では使われている。一方，本学会独自の方法として開発された"水使用時間率と器具給水単位による方法"は，算定条件とする諸データに不十分な面があり，適用できる建物用途が限定的であることから，普及はあまり進んでいないようである。