蓄熱式空調システムの現状と将来

摘要

我が国の蓄熱式空調システムは長い歴史を有しており，安価な夜間電力料金が後押しして普及が進んでいたが，最近の社会情勢下ではBCPやDRにも有効とされ，今後も普及が望まれるところである。東日本大震災以降，災害時にも空調を継続できるとともに槽内水を生活用水や消防用水にも転用できるメリッ卜が再認識される一方で，これまでとは逆に，要請に応じて電力需要を増大させることが可能となることにも期待が寄せられている。本稿では，代表的な蓄熱システムの現況を概観し将来への期待を述べるとともに，今後も普及を期待したい水蓄熱システムの設計の一助とすベく温度成層型蓄熱槽のディフューザ簡易設計法について簡単に触れた。