地域熱供給システムと個別暖房•給湯方式の性能評価

摘要

本研究は，地域熱供給システムと個別暖房•給湯方式の性能評価を目的とする.日本の民生エネルギー需要において約半分を暖房需要,給湯需要といった熱需要が占めており,特に寒冷地では灯油を大量に消費することによりまかなわれている.ファンヒーター，エアコン，給湯器などの個々の暖房機器,給湯機器の熱効率向上は目覚しいものがあるが，化石燃料を由来とするエネルギー依存からは脱却していない.一方，デンマーク，フィンランドといった北欧を中心としたヨーロッパ諸国では，ごみ焼却場の排熱や木質バイオマスを利用した地域熱供給が普及している.断熱性能の高い住宅に対し，温水をパイブラインで供給することにより暖房•給湯需要を満たしている.これにより厳しい寒冷地の冬でも，快適かつ環境負荷の低いエネルギーシステムを実現している.日本の寒冷地においても，化石燃料に依存しない地域熱供給システムを社会インフラとして導入することは，低炭素社会をめざす上で有用であると予想される.%This study aims to compare a district heating system (DHS) with Conventional heating and hot water. DHS with municipal solid waste (MSW) and Woody biomass is supposed to reduce primary energy, CO_2 emission and total annual cost. The result shows that DHS with MSW and Woody Biomass reduces 75% of primary energy, and reduces 88% of CO_2 emission. However, pipeline costs forms a large part of total capital cost which causes 84% increase in total annual costs compare with conventional cost. Feasibility of installation of DHS depends on heat demand density; over 3.0TJ/ha demand is necessary.