ボギー角操舵台車の操舵機構および制御方法の開発

摘要

新幹線区間で求められる高速走行安定性の確保と在来線区間で求められる曲線通過性能の両立をめざし，操舵台車の開発に取り組んだ．この開発により，以下の知見を得た．1. 構造のシンプルさとメンテナンス性，フェール時の安全性の観点から，車体に対し台車枠を操舵する「ボギー角操舵台車」を選択した．2. 1台車の片側に2本のヨーダンパを並列に装備した新在直通用台車をベース台車として，制御装置と操舵用アクチュエータ，2段切替式ヨーダンパで構成されるボギー角操舵システムを開発した．3.シミュレーションにより，横圧低減の効果とフェール時の横圧について，確認を行った．操舵アクチュエータの推力が大きいと，過剰操舵状態となり，後方軸外軌側の横圧＞先頭軸外軌側の横圧となることがわかった．4.試作品を E6 系車両に搭載し，本線走行試験を行い，先頭軸外軌側における平均横圧および局所横圧の低減効果を確認した．これはシミュレーションと合致する結果であった．5.本線走行試験における先頭軸外軌側の横圧低減効果は，平均横圧で3～8kNであった．今後は，開発したボギー角操舵システムのさらなる小型化や効果的なシステムの搭載配置，より精度の高い曲線検知方法等について，さらに検討を進めていく．