効率的なローイング動作を探る

摘要

漕艇競技は1 本（スイープ）もしくは2 本（スカル）のオールを用いてボートを2000m 進める時間を競う競技である．競技用ボートはシートが動くようになっており，ボートを進めるための推進力として脚の伸展力を活用できる点が公園にある一般的なボートと異なっている．脚伸展，体幹のスイングの動作をどのように協調させてハンドルに力を伝達するかが重要であるが，この点に関して様々な漕法が提案されている（図1）（Kleshnev, 2016）．DDR 漕法やRosenberg 漕法は体幹のスイングをより強調する漕法なのに対し，Adam 漕法やGrinko 漕法は脚伸展を優先的に使う漕法である．両者の使い方の時間的関係の観点からみれば，DDR 漕法とAdam 漕法は脚伸展と体幹のスイングを同時に行う漕法，Rosenberg 漕法とGrinko 漕法は脚伸展の後に体幹のスイングを行う漕法と整理できる．各漕法がどのようなハンドルパワーを生み出すのか，大まかには理解されている（Kleshnev, 2016）ものの，どの漕法がどの点で優れており，またそれは何故なのかについて十分理解されているとはいえない．