分解促進型改質アスファルト乳剤を用いた常温じょく層工法の開発

摘要

1. はじめにひび割れが発生している既設舗装上や目地があるコンクリート版上にアスファルト混合物でオーバーレイを施すと, 早期にリフレクションクラックを発生することが経験上知られている. このリフレクションクラックの発生を遅延させるためには, 応力緩和層を敷設する工法が非常に有効である. 現在市場に流通する応力緩和層の中でも,バインダーにアスファルト乳剤（以下, 乳剤）を用いたじょく層工法（以下, 常温じょく層）は, コストが比較的安価であり, 常温施工が可能かつ供用後も再生可能な舗装発生材となるため, 環境にも優しい常温工法である. また,ディストリビュータによる乳剤散布が可能なため, 日当たり施工面積が大きく, 施工効率にも優れている. しかし,常温じょく層は多量の乳剤を散布するので, 道路勾配によっては均一な乳剤膜厚が確保できないため, 所定の応力緩和性能を得られない可能性がある.