UHPFRC により床版上面を打替えたRC 中空床版橋の床版片持部の挙動

摘要

鉄筋コンクリート（RC）中空床版橋は，中日本高速道路（株）が管理する橋梁の約25％を構成し，コンクリート橋としては最も数の多い形式の橋梁である．RC 中空床版橋は建設年次の古いものが多く，設計荷重としてB 活荷重が規定される以前に設計された橋梁が全体の約95％を占め，ほぼ全ての橋梁の耐荷性能を照査する必要がある．また，高速道路橋では1998 年まで床版防水工を標準的に施工してこなかったことから，凍結防止剤の散布の影響等により多くのRC 中空床版橋で上面に劣化がみられる状況となっている．高速道路リニューアルプロジェクトでは，健全度評価に基づいてRC 中空床版橋の床版部（以下，床版上面と称す）の更新を実施する計画であり，標準的な更新方法として床版上面の全面的打替えを実施することとなっている．打替えの材料として，物質移動抵抗性が高く高強度な超高性能繊維補強セメント系複合材料（UHPFRC）を使用することで耐久性および耐荷性能の向上を図ることができると考え，実現に向けた研究・開発を現在実施している．本論文は，床版上面をUHPFRC で打替えたRC 中空床版橋の構造特性を把握するために実施した3 次元非線形有限要素法（FEM）による構造解析のうち，床版片持部について得られた結果を述べるものである．