CLT（直交集成板）を用いた農道橋の床版取替工事

摘要

CLT（Cross Laminated Timber：直交集成板）は，図-1 に示すように木材の挽き板（ラミナ）を層毎に並べて，各層の繊維方向が直交するように積層接着した木質材料であり，コンクリートスラブのような厚みのある大きな板である．国内メーカーが製造するCLT のサイズは様々であるが，最大で幅3m，長さ12m，厚さ270mm の製品が製造可能である．わが国では，CLT に関する技術開発は殆どが建築構造を対象としている現状があるが，この材料の大きさを考えれば土木分野での活用も考えられる．また，国産材のCLT にはスギやヒノキ，カラマツのラミナが使用されているため，単位体積重量はコンクリートの1/6～1/4 程度と軽量であり，この軽さもまた，土木用途を考えた場合のメリットとなり得る．筆者らは，こうした特徴に着目し，橋梁の床版としてのCLT 活用の可能性を検討しており，CLT 床版を用いた林道橋の試験施工の概要について報告している．本稿では，平成30 年2 月に秋田県仙北地域の農道橋を対象とした床版補修工事において採用されたCLT を用いた床版取替工事の概要について報告する．