縦補剛せん断パネルを有する鋼管集成橋脚の耐震性能に関する解析的研究

摘要

鋼管集成橋脚とは，図-1 に示すように4 本の鋼管を履歴型ダンパー機能を有する横つなぎ材で結合し，それを1 つの橋脚とする構造である．横つなぎ材の中央部のせん断パネルには低降伏鋼点を用い，大規模地震発生時には2次部材であるせん断パネルの損傷を先行させることで1 次部材の鋼管への損傷を小さくすることができる．また，従来型の橋脚に比べて，工期や工費を削減できる点，大規模地震後に早期復旧が可能な点，それほど大きな施工ヤードを必要としない点など耐震性能以外にも本構造には多くのメリットがあり，阪神高速道路海老江JCT を始め実用化がされている．現在，本橋脚において制震性能を向上させることを目的に横つなぎ材中央部に縦補剛材を有しフーチング基礎から杭基礎とした形式が提案され，その新形式の横つなぎ材については実物大実験による検討などが行われてきた．しかし，杭や地盤も含めた構造全体での検討は行われていない．そこで本研究では3 次元FEMによって縦補剛せん断パネルを有する鋼管集成橋脚全体のモデル化を行い，実験では検討が困難な橋脚全体の力学的挙動について検討を行うことを目的としている．