塗膜下亀裂を対象とした調査技術の検出性能評価に関する基礎的検討

摘要

鋼道路橋の点検で検出される溶接継手止端部などの塗膜割れは、塗膜のみの割れであるのか鋼部材の疲労亀裂の発生に伴って生じた割れなのかを目視で判断することが困難である。塗膜割れが鋼材に生じた亀裂によるものか判断できない場合には、塗膜を剥がして亀裂の有無を確認する必要がある。しかし、塗膜を剥がす作業とその後に補修塗装する作業には手間が掛かる。また、参考文献によれば塗膜割れの箇所に実際に亀裂が発生している割合は約13％と比較的低く、多くは塗膜のみの割れとなっている。このような特徴のある塗膜割れ下の亀裂の調査については、塗膜を剥がさずに塗膜上から亀裂を検出できる効率的な調査技術と、その検出性能を定量的に統一的に評価する方法が必要とされる。本稿では、塗膜下亀裂の調査技術を対象とした性能評価法の提案に向けた基礎的検討について報告する。