欧州における騒音政策の現状と諸課題

摘要

それぞれの環境問題に対する政策プライオリティの高低は，その国が置かれた状況により様々で あり，例えばEU諸国のようにEnvironmental Noise Directive (以下，END)に端を発した積極的な 政策を展開している場合もある。そうしたプライオリティの高低を数量化するのは困難であるが， 競争的研究資金の配分状況とは何かしらの関係があると推察される。そこで最初に，欧州において 騒音政策に関連する競争的研究資金の配分状況に着目する。次に，欧州におけるノイズマップを活 用したアクションプランの立案•実行という一連の騒音政策で不可欠な，詳細なノイズマップの公 開について，その現状を紹介する。最後に，我が国で詳細なノイズマップを公開する際に問題とな るであろう，道路交通騒音の予測方法について，日独の比較を試みる。