CFRPを用いた宇宙用bistable開断面チューブにおける展開時の伸展力の定量的評価

摘要

bistable構造とは2つの異なる安定形状を持つ構造である.部材として用いることで，機構を複雑化させずに軽量かつシンプルな変形構造を可能にできると期待されている.bistable構造の安定形状に関する研究は多く研究がおこなわれ，特に2種類の構造に関する研究が一般的である.1つ目は炭素繊維複合材料(CFRP)の反対称積層板である.硬化時の温度と使用時の温度の差によって誘起されるbistable構造であり,snap-through現象と呼ばれ，Hyerらによって解析的に研究された.2つ目はCFRP反対称積層による円筒構造である.Guestらは安定形状を求めるために，梁モデルと殼モデルの2つの手法を提案した.さらにPellegrinoらはGuestらのモデルを単純化し，ひずみエネルギーの停留点を考えることで安定形状を導出する方法を提示した.またPellegrinoらは等方性の円筒殼に塑性ひずみを与えることでbistable構造を作り出すことにも成功している.このように安定形状に関する研究は多く行われているが’安定形状の移行途中の挙動に関する研究例は少ない.