映像IoTとは何か？

摘要

現在，IoT(Internet of Things)の普及により，あらゆるモノがネットワークに接続する時代が到来しつつある.IoTの特長の一つは多数のセンサーでモノから情報を取得する（多地点センシング）技術である.取得された情報はインターネットを経由してクラウドに蓄積され，データ分析が行われる（必要であれば人工知能が使われる）.分析結果に応じてモノがァクチユエートする（ヒトにフィードバックする）こともある.IoTで対象となるモノは物理現象に限らず，たとえば映像もその対象となる.映像システムは比較的高額であり，またデータ通信量が他のセンサーと比較して大きいために，映像デバイス（カメラ等）はIoTの対象と考えられることは少なかった.しかし近年，安価で小型のLinuxベースのマイコンであるRaspberry Pi (以下，RaspPi)の登場により映像のIoT化の可能性が広がった.RaspPiはDebianをベースとしたOS (Raspbian)を搭載した省電力小型マイコンであり，最新のRaspberry Pi3は4コアのARMプロセッサ一と独自のH. 264エンコーダ·デコーダを搭載している.本発表では，情報通信研究機構とクレアリンクテクノロジ一社が開発しているRaspberry Piによる映像IoTシステムについて，技術紹介事例紹介（将来計画を含む）を行う.