4本並列沸騰管における流動安定性に対する入口抵抗の付加位置の影響

摘要

ボイラ等に代表される沸騰関連機器では密度波振動に代表される流動脈動が発生する可能性がある．脈動の発生は機器の安全運転に悪影響を及ぼすことから，これまでに種々の研究が行われてきた．これらの研究により，密度波振動は一般的には管入口の液単相部の流動抵抗を増加させることで安定化し，出口部の流動抵抗を増加させることで不安定化すると認識されている．しかし，並列管群で同様の現象が発生した場合，絞り抵抗の付加位置によっては異なる特性が発生することが指摘されている．また，実機においては並列管構造も単純にヘッダを介して管群が配置されるものだけではなく，ヘッダからの管を分岐管で分ける構造や複数のヘッダを有する構造が採用されることがある．これは並列管を有するユニットが複数並列に接続される構造，つまりは並列管構造が多重に埋め込まれている構造となり，流動不安定性の理解はより複雑なものとなる．上記のような構造をもつ沸騰管においては，並列管を単一管に模擬することで安定解析が行えるのか，流動抵抗を設ける場合にどの位置に設けるのが効果的であるのかなどの把握が重要となる．本研究では，上記の現状を踏まえて，2 本並列管で構成されるユニットが2組並列に配置されることにより構成される4本並列管における安定性について検討を行ったのでこれを報告する．