流れ加速型腐食への乱流場速度変動周波数特性の依存性調査

摘要

原子力発電プラントで生じる配管減肉のうち，流れ加速型腐食（Flow-Accelerated Corrosion, FAC）は，広範囲にわたる減肉を生じさせ，大規模な流体漏洩事故につながるリスクが高い．2004年には，美浜原子力発電所3号機の2次冷却配管中のオリフィス下流域で流れ加速型腐食が進み，実際に配管破断に至った．そのため，FACに影響を与える流動場を解明するために，速度や乱流エネルギーの時間平均値に観点をおいた研究が多く行われてきた．また，物質輸送と運動量輸送のアナロジーの観点から，壁面剪断応力の時間平均やRMS値に観点をおいた研究も行われ，減肉速度と定性的に一致する結果を得られているものの，FACとの定量的な予測するためには，未だに現象を十分解明できているとは言えず，その解明が待たれている．