クリープ寿命消費を指標とした化学洗浄時期計画法

摘要

火力発電所ボイラでの化学洗浄は，伝熱阻害による水冷壁管温度上昇，流動阻害による圧力損失上昇が判断基準となり，前者による管材損傷への影響は，プラント運転データ，外観観察からは判断が難しく，管材のクリープ破断防止を目的とした化学洗浄基準が設定されている．現状の化学洗浄基準は，一律の材料許容温度に基づいて決められているが，ボイラ毎の運転中の応力や温度変動の影響は考慮されていない．当所は，これまでに実機抜管材を用いたクリープ試験やメタル温度データ解析を実施しているが，実機ボイラ水冷壁管のクリープ寿命消費は小さく，保守的な評価が行われており，化学洗浄基準に合理化の可能性があると判断した．本報では，実機ボイラ水冷壁管のクリープ試験およびメタル温度解析により，クリープ寿命消費状態を把握し，化学洗浄時期を合理的に決定する方法を提案する．