太陽熱と小型ガスエンジン排熱を利用した吸収式冷暖房システムの特性解析

摘要

近年，わが国においては，地球温暖化防止ならびにエネルギーセキュリティーの観点から，化石エネルギーの消費削減と再生可能エネルギーの利用促進が強く求められている．特に民生部門（業務ならびに家庭）の最終エネルギー消費量の伸びが大きいことから，この部門における最終エネルギー消費の削減が強く求められており，建築物に関しては，エネルギー自給（自立）の必要性が強く認識され，ゼロ・エミッションのビルあるいはハウスが標榜されている．そこで，著者らは，次世代エネルギーシステムについての実証試験を行っている実験集合住宅を対象に，一次エネルギー消費量の削減と再生可能エネルギー利用の可能性について，導入されている個別機器の実運転時の性能・効率の実測を行い，それら個別機器の特性把握と建物全体のエネルギー利用効率・環境性能の熱工学的な評価に取り組んでいる．本報では，建築物に求められている省エネルギー・再生可能エネルギー利用の制度的背景と，主にガスエンジンと太陽熱を利用した吸収式冷暖房システムからなるセントラル熱源システムの運転特性について調べた結果を報告する．