磁気粘弾性流体を用いた液体磁石の作成とその特性

摘要

磁石の歴史において、これまでネオジム磁石やフェライト磁石、アルニコ磁石などの永久磁石や、それらを用いて加工を容易にしたボンド磁石など、様々な磁石が開発および作製されてきた。近年では磁性エラストマ一と呼ばれる変形可能な磁石が開発され、その性質に注目した山口らによって、磁性エラストマ一の変形による磁場の変化利用した発電システムが提唱されている。磁性エラストマ一以外にも変形可能な磁石としてLiuらによって強磁性の液滴が発見され、磁石に関する工学的応用の自由度ならびに新しい磁石への期待が高まつてきている。これに対して本研究では粘弾性流体に強磁性微粒子を混合し、流体全体に磁場をかけ、流体中の微粒子を磁化することで、流体に磁気特性を付与し、これを液体磁石と呼称することとした。新たな機能性流体である液体磁石は、その作成方法が確立されておらず特性も未知であるため、知見を得ることが重要であると考える。また、自在に変形可能である磁石という性質を利用して、発電機やシール、接着剤などへの応用が期待されるため、工学的応用が可能かどうかを検証するという観点からも特性調査は重要である。